サーバをCPIからクラウド環境へ移設するときに注意すべきこと
概要
今回は、比較的依頼の多いCPIの共用レンタルサーバからクラウド環境のサーバに移設を行う際の制約や注意点について書いてみます。
対象とするのは、1台のサーバでWEB・DB・MAILを利用している小さなサイトや企業様向けのサーバです。
移設の作業としては
- ドメインの移管
- ネームサーバの変更
- メールデータ
- SSLサーバ証明書
- サーバデータ移行
などが挙げられます。
それぞれについて、注意点を挙げてみます。
ドメインの移管
元々他社でドメインを管理している場合は問題ありませんが、CPIでドメインを管理している場合にはCPIにドメイン管理部分のみ残すか、別のレジストラに移管するかどうか検討し、残さない場合には、お名前.comやバリュードメインなど別のレジストラに移管の手続きをします。
ドメインの移管に関する注意事項は以下です。
- ドメイン移管には一般的に1〜2週間程度かかる
- Whois情報は最新にしておく
他のレジストラに移管する場合、新レジストラのネームサーバを使用する事もできますが、 ドメイン移管の手続きが終わらないとネームサーバも使えない ことが多いので、余裕を持って手続きを開始してください。
また、移管手続き前にはWhois情報が自身のものになっているか確認しておきます。
特にメールアドレスは、ドメイン移管に必要な承認メールが届きますので、必ず受信できるものにしてください。
CPIの管理画面から他社への移管手続き方法は、以下に記載されています。
続いて、移転先で移管申請をします。
お名前.comの場合、下記のページから移管の手続きができます。
移管の申請ができたら、トランスファー承認メールを受信・承認して、手続きを進めます。
ネームサーバの変更
DNS サーバーレンタルを契約していない場合、ネームサーバを切り替える必要があります。
CPIの標準DNSを使用している場合、以下のことが問題となってきます。
- 標準DNSは書き換えられない。TTL値は固定
肝心のサーバ移行の為にDNSレコードを変更する際、浸透時間が長くかかるのを避けるには、 先にネームサーバを切り替える ことをお勧めします。
ネームサーバの切り替え手順:
- 新しいネームサーバを用意し、CPIのゾーンデータと同じ値を設定する
- レジストラ(CPIまたは他のドメインの管理者)のドメイン設定を新ネームサーバに変更
- CPI側で設定されていたNSレコードのTTL値+キャッシュ分待つ
- whoisで、新ネームサーバが正しく登録されたのを確認
以降は、DNSレコード変更手順:
- レコード、MXレコードなど、変更のあるDNSレコードのTTL値は一時的に短め(300秒など)にしておく
- ゾーンデータを移行先のサーバ情報に書き換える
- DNS伝播が安定したらTTL値を元に戻す
CPIのゾーンデータは、CPIにお問い合わせすれば教えてくれます。
メール
もしもGMAILなどの外部メールサーバを利用している場合には、下記の部分の手続きが必要ありませんので、読み飛ばしてください。
メールサーバの移行は一番気を遣う部分となります。サーバ切り替えに伴うドメインのレコード情報更新に伴い、必ず一時的にCPIサーバと移行先サーバのどちらにメールが届くかわからない時間帯が発生致します。
これは、ドメインのMXレコードに設定されているTTL値が大きく関わります。
CPIの標準DNSを使用している場合には、1日+キャッシュの時間がこの時間帯となりますし、あらかじめネームサーバの変更を行っている場合は、一時的にTTL値を短めに設定することで期間を短縮できます。
メールソフトを利用している場合には、今使っているCPIサーバの送受信アカウントとは別に移行先サーバ用のアカウントを登録して、どちらに届いても受信できるようにしておくのが良いと思います。
メール受信に関わる設定は、下記のような感じになります。
設定内容は、サーバ環境により異なりますので注意してください。
例)
■CPIアカウント
- アカウント:test@XXXX.com
- 受信サーバ:XXX.secure.ne.jp
- 送信サーバ:XXX.secure.ne.jp
■移行先サーバ
- アカウント:test@XXXX.com
- 受信サーバ:pop.XXX.com
- 送信サーバ:smtp.XXX.com
SSLサーバ証明書
独自ドメインのSSLサーバ証明書を使用している場合、有効期限の残ったSSLサーバ証明書を 移行先のサーバに設置するには、証明書と中間証明書の情報を提供してもらえるか、サポートに問い合わせしましょう。
※プランによっては提供してもらえない可能性があります。
サーバデータの移設
クラウドサーバと違う大きな特徴は SSH接続でコマンド実行できない ことでしょう。
※SSH接続に対応しているプランもあります。
SSH接続できないレンタルプランの場合、以下のような制約が発生します。
- ファイルを移行するのにFTPでしか接続できない
- DBデータへのアクセスはphpMyAdmin等、ブラウザからの操作に限られる
実際の移行方法については、WordPressの例を別記事:「WordPressサーバをCPIからクラウド環境へ移設」に書きました。
注意点だけ要約すると以下の通りです。
- ファイルはlftp コマンドで移行できるが、再同期の際、設定ファイルの上書きに注意
- CPIはMySQLバージョン複数対応の場合有、それぞれに複数のDBが設置可能なので、DBを間違えないで
- phpMyAdminでエクスポートするとき、全データエクスポートされないことがある