はじめに

平素は大変お世話になっております。
クイックガードのパー子です。

IT業界では日々新しい技術やプロダクトが生まれます。
そして、それらはいつだって、洒落たセンスに彩られた個性的な名前を与えられるものなのです。

メールやチャットでやり取りする分には気にも留めないのに、いざ口に出して話そうとすると「あれ、これってどう読むんだっけ?」と戸惑うことはありませんか?

本記事では、ITエンジニアが日常的に目にするけれど、意外とその読み方を知らない用語を紹介します。
(弊社クイックガードはインフラに強みを持つ組織なので、ピックアップした用語はインフラ成分が多めです)

なお、本記事は、特定の読み方を唯一絶対の正解として断定するものではありません。
世界/日本で広まっている慣例や、公式アナウンス、非公式な議論による緩い合意など、いろいろな読み方を知ることで、所属組織内でのコミュニケーション円滑化の一助となることを期待しています。

よく知られたもの

まずはよく知られた有名どころからご紹介します。

nginx

HTTPサーバ シェア1位 - nginx

皆さんご存知、「エンジン・エックス」ですね。

nginx ("engine x") is an HTTP web server, …

(公式サイト より)

なお、読み方はよく知られている一方、文字で表記する際の大文字/小文字の使い分けはあまり浸透していない印象があります。

OSS としてのバイナリを表す場合は小文字で “nginx"、ブランドや商用プロダクトを指す場合は大文字で “NGINX” と表記するのが通説のようです。
頭だけ大文字にした “Nginx” という表記もよく見かけますが、これは正式な表記ではないかもしれないので気を付けたいところです。

Git

Web界隈でのバージョン管理システムのデファクト - Git

“G” で始まる用語は Hard G /g/ と Soft G /dʒ/ の 2パターンがあるのでややこしいですが、これは Hard G の「ギット」ですね。

Git のホスティング・サービスを提供する GitHub の日本支社は “ギットハブ・ジャパン” です。

ちなみに「ジット」と読むと、“JITコンパイラ (Just-In-Time Compiler)” などの JIT を思い浮かべる人が多そうです。

GIF

歴史ある画像フォーマット - GIF (Graphics Interchange Format)

長年、読み方は論争の種になっていたようですが、2013年に開発者である Steve Wilhite氏が Soft G の「ジフ /dʒɪf/」が正しい読みであると表明しました。

Webby Awards の授賞式で IT’S PRONOUNCED "JIF" NOT "GIF" と書かれたスライドを披露したのです。
(その映像は Webby Awards の 公式サイトの記事 で視聴できます)

ちなみに画像フォーマット繋がりだと、JPEG (Joint Photographic Experts Group) は、公式情報は見つかりませんでしたが「JAY-peg /ˈdʒeɪpɛɡ/」すなわち「ジェイ・ペグ」と読むのが一般的かと思います。
余談ですが、Joint Photographic Experts Group というのはこの画像フォーマットの仕様策定に当たった作業部会の名称で、それがそのまま画像フォーマット名になったのは面白いですね。

Google が開発した画像フォーマットの WebP は、かつての Google Code いわく、

Did you know? WebP is pronounced “weppy”.

とのことで、「ウェッピー」と読めそうです。

PNG (Portable Network Graphics) は「ping (ピン)」と読みますが、ICMPプロトコルの pingコマンド と紛らわしいので、個人的には敢えて「ピー・エヌ・ジー」と読みたい気持ちです。

なお、特殊な仮名として “く゚” (半濁点の “く”) というものが存在するらしく、表記的には「ピンク゚」と書いたほうが雰囲気がでるかもしれません。

UNIX系

UNIX に関連した用語です。

POSIX

UNIX系OS の移植性に関わる標準規格 - POSIX

「ポジックス」か「ポシックス」で意見が分かれるところかと思います。

FAQ によると、

It is expected to be pronounced pahz-icks, as in positive, not poh-six, or other variations.

とのことで、「ポゥジックス」のように “SI” を濁らせるようです。
(真偽は不明ですが、"I’m positive about Posix” という小粋な公式キャッチフレーズも存在するらしいです)

ちなみに名前の由来は “Portable Operating System Interface” のアクロニムとのことですが、“X” はどこから現れたのでしょうか?

濁る/濁らないでいえば構成管理ツール Ansible も悩ましいですが、現在の開発元である Red Hat社は濁らない「アンシブル」を採用しています。

$ curl -s https://www.redhat.com/ja/topics/automation/learning-ansible-tutorial | grep '<title>' | head -n 1
        <title>Ansible (アンシブル) とは?をわかりやすく解説</title>

Zsh

最後にして最強のシェル - Zsh

Webサイトのレイアウトが絶妙にズレているのが味わい深いですが、それはそれとして「ズィー・シェル」「ゼット・シェル」「ゼッシェル」「ゼッシュ」など、いろいろな読み方が聞かれます。

Reddit でも意見が割れており、公式見解を見つけることはできませんでした。

ズィー・シェル」が主流だとは思うものの、Bash をリスペクトしている私は「ゼッシュ」と読んでいます。
(あれ? そもそも Bash の読み方は「バッシュ」でよかったかしら?)

GNU

GNU’s Not Unix! - GNU

GNU は自由を尊重する Free software なオペレーティング・システムである… とのことですが、GNU の名を冠するツール群、といったほうが馴染みがあるでしょうか。
(gcc, gdb, gawk, …)

大型草食動物のヌーと同じ綴りですが、読み方は “G” を強調して「grew」のリズムで /ˈgnuː/、すなわち「グ・ヌー」です。

Linuxデスクトップ環境の GNOME (GNU Network Object Model Environment) も、MIT のサイトにある FAQ によると GNU と同様に “G” を発音するようです。
綴りは土属性の精霊ノームと同じですが、「guh-NOME (グ・ノーム)」です。

画像編集ソフト GIMP は、前述の Hard / Soft G の悩ましさがありますが、“GNU Image Manipulation Program” のアクロニムであることを考慮すると、Hard G である GNU に倣って「ギンプ」かと思われます。
ただし、最初期のプロダクト名が GNU ではなく “the General Image Manipulation Program” だったようなので、「ジンプ」という読み方も否定しきれないところです。
(一定「ジー・インプ」という流派もあるようですが、読み方に関してオフィシャルなアナウンスを見つけることができませんでした)

一方で、glibc は “GNU C Library” であるものの、「グリブ・シー」とは読まずに「ジー・リブ・シー」だと思うのですが、いかがでしょうか?

sudo

Superuser Do - sudo

いろいろな読まれ方をするコマンドですが、公式表明 では「soo-doo (= su ‘do’)」であり、カタカナでは「スー・ドゥー」が近そうです。

開発者 Bob Coggeshall氏への インタビュー によると、やはり /ˈsuːduː/ が正しい発音とのことです。
(記事の冒頭でなぜか “Robert Coggeshall” と紹介されていますが、最初期の開発者 Bob Coggeshall氏のことだと思われます)

ところでスポンジ・ボブ感ある ロゴ のインパクトが絶大ですね。
サンドイッチがモチーフのようです。

SUSE

商用Linux製品の先駆者 - SUSE

カメレオンマークの Linuxディストロ openSUSE の出資元です。

「スーゼー」「スーザ」などと読まれることもありましたが、公式ブログ の動画で正しい読み方が紹介されています。
恰幅の良い男性がミュージカル風に「It’s SUSE ♪ Say SUSE ♪」と歌うのですが、「スーサ」のように聞こえます。

…なのですが、日本法人の SUSEソフトウエアソリューションズジャパン株式会社 は、口座名義や 登記上のフリガナ が「スーゼ」でした。

フロントエンド/JavaScript

フロントエンド界隈の用語を集めてみました。

ECMAScript

JavaScript のベース規格 - ECMAScript

ES6 とか ES2025 の “ES” は ECMAScript の略ですね。

Ecma International なる組織が策定しています。

読み方に関する公式情報は見つけられませんでしたが、Wikipedia によると /ˈɛkmə/ と読むようです。
カタカナだと「エクマ・スクリプト」でしょうか。

Vite

フロントエンド用の高速ビルドツール - Vite

「ヴァイト」と読みたくなりますが、公式ドキュメント で明言されているとおり「ヴィート /vit/」が正解です。

Vue

UI用JavaScriptフレームワーク - Vue

公式サイト にあるとおり、英単語の “view” と同じく、 /vjuː/ すなわち「ビュー」と読みます。

このあたりは素直 (?) な読み方だと思うので、スッと読めるかと思います。

shadcn/ui

UIコンポーネント集? そのジェネレータ? 配布プラットフォーム? - shadcn/ui

開発者は shadcn氏です。

shadcn というハンドルネームの読みは ご本人が「shad-c-n」と言っている ので、shadcn/ui はカタカナだと「シャド・シー・エヌ・ユーアイ」と読めそうです。

Deno

Yet another な JS/TSランタイム - Deno

竜脚形類と思しきマスコットの恐竜が可愛い。

一見すると「デノ」ですが、公式サイト によると読み方は /diːnoʊ/ であり、「dee-no」のように発音するとのことです。
カタカナならば「ディーノ」や「ディノ」ですね。

プログラミング/データベース/CMS

アプリケーション開発にまつわる用語です。

PyPy

Python で記述された Python処理系 - PyPy

正確には RPytnon で書かれているとのことですが、門外漢なのでここでは深入りしません。

「いっぱい」の “い” を “お” に変えると「おっぱお」ですが、PyPy の読みは「パイパイ」と思われます。(ソースなし)

ポカポカして優しい気持ちになる響きですね。

PyPI

Python用のパッケージ・リポジトリ - PyPI

Python Package Index の略です。
JS における npmjs.com、Ruby における RubyGems.org のような存在といえるでしょうか。

「いっぱい」の “い” を “お” に変えると「おっぱお」ですが、PyPI の読み は「pie pea eye」すなわち「パイ・ピー・アイ」です。

Safe for work ですね。

WSGI

Python における Web - アプリケーションサーバ間の接続規格 - WSGI

Wikipedia によると「whiskey」または「(Hard G で) whiz-ghee」のように発音するとのことです。
蒸留酒が添えられる こともあるので、「ウィスキー」と読んでよさそうです。

似たような文字の並びだと、全然違う分野ですが、エディタの文脈で聞かれる “WYSIWYG (What You See Is What You Get)” はどうでしょうか。
これは「wiz-ee-wig /ˈwɪziwɪɡ/」すなわち「ウィジウィグ」としてよく知られているので発音は困らないのですが、書くときに「W? Y? I?」といつも迷ってしまいます。
私だけでしょうか。

Zeitwerk

Ruby on Rails の Autoloader - Zeitwerk

Rails 6 からデフォルトの Autoloader に採用されたので Ruby界隈では頻繁に見かけますが、ドイツ語なので読み方がいまひとつわかりません。

腕時計に詳しい人なら、A. Lange & Söhne というメーカーがこういった名前の腕時計を販売しているので読み方をご存知かもしれません。
A. Lange & Söhne の日本語サイトによると、カタカナでは「ツァイトヴェルク」と表記するようです。

Zeitwerk の README にある mp3 を聞いてみても、確かにそのように聞こえます。

ちなみに “zeit” は “時間”、“werk” は “仕事” を意味するそうです。

ドイツ語繋がりでは、React の状態管理ライブラリ Zustand もドイツ語が由来です。
ド直球に “状態” を意味する単語で、読み方は「ツーシュタント」のように聞こえます。

別の React状態管理ライブラリ Jotai (「ジョータイ」) も、まさに “状態” そのものなわけなので読み方に迷うことはありませんね。

Qt

クロスプラットフォームなアプリケーション開発フレームワーク - Qt

Wiki によると、「cute」のように発音します。
(「cu-tee」ではありません)

カタカナだと「キュート」ですね。

Drupal

水滴マークのコンテンツ管理システム - Drupal

公式サイト によると「droo-puhl」と読むとのことです。

puhl の表現が難しいですが、カタカナで表すと「ドゥルー・プゥル」という感じかと思います。
(日本だと「ドゥルーパル」という表記が一般的ですかね)

ちなみに、今でこそ水滴マークの Drupal ですが、開発段階では、オランダ語で “村” を意味する “Dorp” を採用するつもりだったそうです。
ところが、dorp.org というドメインを取得するはずがタイポして drop.org を購入してしまい、ならば思い切って “水滴” を意味するオランダ語 “Druppel” に由来したプロダクト名にしよう… という経緯で “Drupal” と命名されたとのことです。

SQL

RDBMS (Relational DataBase Management System) を操作するための標準言語 - SQL

一般に「エス・キュー・エル」と読まれますが、歴史的経緯から「シークェル」と読む一派もあるようです。

The language, Structured English Query Language (SEQUEL) was developed by IBM Corporation, Inc., to use Codd’s model. SEQUEL later became SQL (still pronounced “sequel”).

(Oracle社 SQL Language Reference より)

ただし、PostgreSQL は「ポストグレ・シークェル」ではなく「Post-Gres-Q-L (ポストグレス・キュー・エル)」であり、MySQL も「マイ・シークェル」ではなく「My Ess Que Ell (マイ・エス・キュー・エル)」なのです。
(「『マイ・シークェル』と読みたいならそれも一向に構わん」とも書かれていますが)

SQLiteエス・キュー・ライト」や「エス・キュー・エライト」など諸説ありそう ですが、やはり「シークェ・ライト」ではなさそうです。

コンテナ/仮想化/クラウドネイティブ

コンテナや仮想化分野の用語です。

Kubernetes

大規模コンテナ・オーケストレーション基盤 - Kubernetes

操舵手/パイロットを意味するギリシア語に由来 し、読み方は Wikipedia によると /ˌk(j)uːbərˈnɛtɪs, -ˈneɪtɪs, -ˈneɪtiːz, -ˈnɛtiːz/ だそうです。
カタカナだと「クーバネティス」や「クーバネイティス」あたりが一般的でしょうか。

Kubernetes を文字で表記する際、中間を畳んで “K8s” とすることもあります。
発音するときは略さずにそのまま Kubernetes と読むこともあれば、短縮表記のとおりに「ケイツ」や「ケー・エイツ」と読む流儀もあるようです。
後者の流儀では、I18n (Internationalization; 国際化), L10n (Localization; ローカライズ), O11y (Observability; 可観測性) などはどう読むのでしょうか。
気になります。

ちなみにこのスタイルの略し方を Numeronym (ヌメロニム) というそうです。

一方、Kubernetesクラスタを操作するための CLI である kubectl には罠があるので要注意です。

Kubernetes の読み方に倣って「クーバ・シー・ティー・エル」または「クーバ・コントロール」と読みたいところですが、正しくは「cube control」だそうです。
cube は立方体を意味する英単語だと思うので、「キューブ・コントロール」ですね。

Traefik

クラウドネイティブなリバースプロキシ - Traefik

Traefik Labs が開発する OSS のリバースプロキシです。

公式ブログ によると、読み方は英単語の “Traffic” と同じで、/ˈtræfɪk/ と読むとのことです。
普通に「トラフィック」と読んでよさそうです。

KEDA

Kubernetes用のイベント駆動オートスケーラ - KEDA

以前に当ブログでも ご紹介 した KEDA です。

GitHub上の Discussion によると、メンテナの方いわく「公式の読み方はないので、『kay.dah』なり『keh.dah』なり好きに読んでくれ」だそうです。
カタカナならば「ケイ・ダー」や「カェイ・ダー」、「ケー・ダー」などでしょうか。

QEMU

オープンソースのマシン・エミュレータ - QEMU

QEMU をそのまま触る機会はないかもしれませんが、Linux用仮想化技術 KVM (Kernel-based Virtual Machine) と組み合わせて使用したり、Docker Desktop for Mac に搭載 されていたりしました。

開発者メーリングリスト で読み方が議論されていましたが、定まったものはなさそうです。

「Q-emu」や「kee-moo」、「Q-E-M-U」などいろいろありそうですが、"Quick Emulator" の略であることを鑑みると「Q-emu (キュー・エミュ)」がよいと思いました。
ロゴは完全に エミュー ですし。

商用サービス/プロダクト

特定企業により商用で提供されているサービスやプロダクトです。

Microsoft Azure

3大クラウド・プラットフォームの一角 - Microsoft Azure

Microsoft Base コンテンツ ポータル で公開されている『簡易提案書 「ゼロから分かる Microsoft Azure」 (2019 年 2 月版)』という Microsoft公式の資料において、カタカナでは「アジュール」という表記が用いられています。
(「アズール」もたまに聞きますが、某艦船美少女ゲームの影響でしょうか)

ただし、英語圏の動画を見ていると (カタカナで表記しづらいですが)「アジュレ」や「アジュア」と読んでいるように聞こえます。
(https://azure.microsoft.com/en-us/blog/all-the-azure-news-you-dont-want-to-miss-from-microsoft-build-2025/ の動画など)

Wikipedia によると、Azure という言葉は青色の鉱石ラピスラズリに由来した色名であり、英語以外の言語にも同じ由来の色名が存在するようです。
(仏:azur, 伊:azzurro, …)

そういった意味で、それぞれの国でいろいろな読み方がされていそうですね。

Amazon ElastiCache

Memcached/Valkey互換のマネージド・キャッシュサービス - Amazon ElastiCache

“Elastic” な “Cache” サービスかと間違えやすいですが、中間の “C” が重複せず、“Elasti - Cache” です。

AWS の紹介動画 では、「エラスティ・キャッシュ」のように発音されています。

ちなみに Memcached も末尾の “d” の読み方に流派 (= 過去分詞的に「キャッシュト」と読むか、d を独立させて「キャッシュ・ディー」と読むか) がありますが、同動画では「メム・キャッシュ・ディー」と読んでいました。
(うじゃうじゃ押し寄せるマスコットのモンスターが可愛い)

Valkey は、やはり公式の読み方は見つかりませんでしたが、このあたり では「ヴァル・キー」と読んでいるように聞こえます。
ひねったところのない素直な読み方に感じるので、皆さんも特に異論はないかと思います。

さらに、その Fork元である Redis の読み方は、FAQ によると、

“Redis” (/ˈrɛd-ɪs/) is pronounced like the word “red” plus the word “kiss” without the “k”.

とのことです。

また、そのアクセントについて、Redis の開発者である Salvatore Sanfilippo氏は、Google Groups で「『REdis』のように発音すべし。ただし情熱があればなんでも構わない」(意訳) と発言しています。

カタカナで表現すると、頭の “レ” を強く発音して「レ(ッ)ディス」という感じでしょうか。

Zapier

人気の自動化ツール - Zapier

先発の IFTTT などと同じく SaaS を繋ぎ合わせる自動化ツールとして人気を集めていましたが、昨今の AI熱の高まりに乗って AI のワークフロー/オーケストレーションを全面に押し出していますね。

読み方は “happier” のリズム で「ザピアー」です。

“Zapier makes you happier.”

Zapier で幸せ。

ちなみに IFTTT は “Gift” の “G” を抜いてイフト」と読みます。

Atlassian Jira

Atlassian社のプロジェクト管理ツール - Jira

世間的には「ジラ」「ジーラ」の 2パターンがあるようですが、アトラシアン株式会社の公式見解 では「ジラ」とされています。

Atlassian Opsgenie

Atlassian社のオンコール・ツール - Opsgenie

PagerDuty と並ぶツールでしたが、製品の統廃合のため、このブランド名での販売は終了しているようです。
(Jira Service Management または Compass へ移行する必要があります)

“genie” はアラジンのランプの魔人なので、「オプス・ジニー」や「オプス・ジーニー」と読めそうです。

モニタリング

監視やオブザーバビリティに関係する用語です。

Jaeger

分散トレーシングシステム - Jaeger

ドイツ語で “狩人” や “猟師” を意味する “Jäger” が由来です。
狩人っぽい帽子をかぶった Gopherくん が足跡を調べている様子がロゴになっていますね。

カタカナでは「イェーガー」ですかね。

ちなみに『進撃の巨人』のキャラクター “エレン・イェーガー” は “Eren Yeager” と表記するそうなのでちょっと綴りが違います。

Nagios

システム監視ツールの代表格 - Nagios

Server Fault が情報源なのですが、読み方は Hard G の「ナギオス」です。

余談ですが、かつては NetSaint という名称だったものの、権利関係で揉めて 改名したとのこと。
Nagios という名称は GNU などと同じセンスの再帰的なアクロニムになっていて、“Nagios Ain’t Gonna Insist On Sainthood” の略だそうです。

と、ここまで書いて Wikipedia を見てみたら、シンプル英語版 では発音が /ˈnɑːdʒioʊs/ と表記されていますね。
(英語版のページ では /ˈnɑːɡiːoʊs/ となっています)

Cacti

昔懐かしいメトリクス可視化ツール - Cacti

かつては監視システムといえば Cacti + Nagios が定番でした。
(SaaS などというものは存在せず、自社で構築するのが当たり前でした)

Cacti は “サボテン” を意味する英単語 “Cactus” の複数形です。

普段の生活では聞き慣れない単語ゆえか「カクティ」と読まれることもありますが、英語的には「カクタイ」が正しそうです。

他に英単語そのものの読み方が焦点となる用語としては、

などがありそうです。

RADIUS は “半径” を意味する英単語と同じ綴りなので、個人的には「レイディアス」と読みたいところですが、Wikipedia日本語版 にも記載されているとおり「ラディウス」「ラディアス」などもよく浸透している読み方かと思います。

PuTTY は FAQ に書かれているとおり、

Exactly like the English word ‘putty’, which we pronounce /ˈpʌti/.

とのことで、穴埋め用のいわゆる “パテ” ですが発音は「パティ」ですね。

Dovecot は、メールサービスが充実する以前は自社のメールシステムとしてよく使っていましたが、当時は「ドベコット」と読む人も多かったように思います。
“dove” が “鳩” で “cot” が “小屋” なので、ˈdʌvkɒt すなわちカタカナだと「ダヴ・コット」が近そうです。
伝書鳩が集まる鳩小屋ですね。

昔の Red Hat系Linux に搭載されていた Yum は、「ヤム」「ユム」の 2流派があったように記憶しています。
英語の「Yummy」「Yum-yum」と同じ響き (= jʌ́m) だとすると、「ヤム」がよさそうです。

Thruk

Nagios系ツールの Webインターフェイス - Thruk

ちょっとマニアックですが、Nagios や Icinga のためのフロントエンドです。

「Truck」のように発音する とのことなので、「トラック」ですかね。
(「スラック」だと Slack になってしまいます)

なお、かつて肉球マークの Trac というプロジェクト管理ツールがありましたが、これも「トラック」ですね。

セキュリティ

セキュリティ分野の用語です。

OWASP

ソフトウェアのセキュリティ向上を促進する非営利プロジェクト - OWASP

OWASP Top 10 が有名ですね。
正式名称は “Open Worldwide Application Security Project” で、NPO団体の The OWASP Foundation が活動を支えています。

日本地域のコミュニティである OWASP Japan では、公式の読み方として「オワスプ」を採用しているようです。

SAML

XMLベースの認証/認可情報の交換規格 - SAML

自分の周囲だと「サムル」「サムエル」と読まれることが多い印象ですが、Wikipedia によると「SAM-el /ˈsæməl/」だそうです。

カタカナだと「サムェル」という雰囲気でしょうか。

JWT

署名と暗号化を備えた JSONベースのクレーム交換規格 - JWT

読み方までしっかり RCF で定義 されており、英単語の “jot” と同じ読みで「ジョット」です。

その他

最後に、他のカテゴリに分類しきれなかった用語をご紹介します。

TeX / LaTeX

学術系で定番の組版システム - TeX / LaTeX

かつて学術/研究界隈に身を置かれた方々はご存知かと思いますが、「テフ」と読みます。

FAQ には以下のように書かれており、

The “X” is “really” the Greek letter Chi, and is pronounced by English-speakers either a bit like the “ch” in the Scots word “loch” ([x] in the IPA) or (at a pinch, if you can’t do the Greek sound) like “k”. It definitely is not pronounced “ks” (the Greek letter with that sound doesn’t look remotely like the Latin alphabet “X”).

ギリシア語の発音はよくわかりませんが、カタカナだと「テフ」または「テック」が近いようです。

ちなみに文字で表記する際は、すべて大文字で、E の位置をちょっと下げつつ文字がオーバーラップするほどに字間を詰めるのが正しい表記とのことです。
(文字位置の細かい調整ができない場合のみ “TeX” と書くことが許される)

一方の LaTex はというと、公式サイト において、

LaTeX, which is pronounced «Lah-tech» or «Lay-tech» (to rhyme with «blech» or «Bertolt Brecht»), …

と明示されています。
(“blech” や “Bertolt Brecht” の韻がどういう感じなのかピンときませんが…)

カタカナだと「ラ・テック」または「レイ・テック」といったところでしょうか。
ただ、日本では TeX に倣って「ラテフ」と読むことが多い気がします。

文字で表記する際は、こちらは A のサイズをやや縮小して上側に寄せつつも、すべて大文字で字間を詰めるスタイルは TeX と同様のようです。

SPF / DKIM / DMARC

電子メールの送信ドメイン認証技術 3点セット - SPF / DKIM / DMARC

いずれも公式で定められた読み方は見つかりませんでしたが、

  • SPF:「エス・ピー・エフ
  • DKIM:「ディー・キム
  • DMARC:「ディー・マーク

で定着しているように思います。

IEEE

電気工学分野における世界最大規模の学術団体 - IEEE

我々にとって馴染み深いものだと、Ethernet や Wi-Fi、Bluetooth といった通信規格が IEEE によって定められています。
また、前述の POSIX も IEEE の規格です。

IEEE Japan Council いわく、読み方は連続する “E” を畳んで「アイ・トリプル・イー」です。

もしかしたら自動化ツール IFTTT が「イフ・トリプル・ティー」、Amazon EC2 (Elastic Compute Cloud) や S3 (Simple Storage Service) が「イー・ダブル・シー」「トリプル・エス」と読まれる世界線もあったかもしれません。

まとめ

日常的に文字で目にする用語でも、いざ読み方となると迷うことは多いものです。

円滑にコミュニケーションできるならば正しい発音にこだわる必要はありませんし、そもそも外来語である以上うまく発音できない用語も多いでしょう。
場に応じて、相手に伝わる発音を心がける意識が大事かと思います。

次回のミーティングで自信をもって発音するための参考にしていただければ幸いです。

今後ともよろしくお願い申し上げます。